[フリーランスデザイナーとフォント]モリサワパスポートがなくても何とかする

[フリーランスデザイナーとフォント]モリサワパスポートがなくても何とかする

2020年8月10日

こんにちは。ウリボウです。

グラフィックデザイナーにとって避けては通れないフォントの問題、特にモリサワパスポートを契約するかどうかについて、お悩みの方は多いのではないでしょうか。

かく言う私もフリーランスになって約2年、モリサワパスポートを契約するかずっと考えていたのですが、その間代替的方法(後述)でやってこれたのでとりあえずなくても大丈夫なのでは、と思っております。

モリサワパスポートの契約を躊躇する理由

かつて会社員(インハウスデザイナー)だった時は、会社がモリサワパスポートを契約していたので普通に使っていました。モリサワパスポートは「モリサワのすべてのフォントに、ヒラギノフォント、タイプバンクフォント、昭和書体フォントの日本語フォントや、欧文フォント、中国語フォント、韓国語フォント、多言語フォントなどを加えた1,500書体以上が、どれでも選べて好きなだけ使える画期的なライセンス製品(公式サイトより)」ということでとても便利なサービスなのですが、使用当時、そんなにたくさんのフォントを使いこなせないよなー・・・なんて思っていたのでした。

なにしろ一度にたくさんのフォントをPCにインストールすると動作が遅くなってしまうので、よく使うフォントを厳選して10書体程度インストールし、あとは案件に合わせて必要なフォントをその都度インストールするというやり方をしていました。なので1,500書体が使い放題と言われてもほんの一部しか使っていなかったわけです。

会社にいた時はそれでもよかったのですが(会社が契約しているので^^;)、フリーランスとしてそのくらいの使用程度なら勿体ないと思うんですね。

また、モリサワパスポートは1年契約から年数に応じた料金設定がされていますが高額です。ほとんどの方はこの費用がネックで悩んでいらっしゃるのではないでしょうか。

グラフィックデザイナーとして仕事をするうえで絶対必要なものはPC(Windows/Mac)とAdobe Creative Cloudで、これらがないと話にならないのですが、その上モリサワパスポートも契約するとなると出費が大変なことになります。

PCは一度購入したら5年は使うとしてAdobe Creative Cloud(コンプリートプラン)が47,760円/年(税別)、モリサワパスポートは49,800円/年(税別)。モリサワパスポートは5年契約なら1年当たりの使用料は少し下がりますが、まとめて200,000円以上の出費になるので踏ん切りがつかないですよね。

※余談ですがAdobe Creative CloudはAmazonのセールで少し割引になる時があります。その他、デジハリオンラインAdobeマスター講座に申し込むとAdobe Creative Cloud1年分が付いてくるのでお得です。

とはいえ基本的なフォントを持っていないと仕事に支障が出ます。じゃあどうするのか、ということで代替的方法の話になります。

Adobe Fontsを活用しよう

※2021年9月に一部のモリサワフォントのAdobe Fontsでの提供が終了しました。中ゴシックBBB、太ゴ B101、見出しゴ MB31の3書体も提供が終了してしまったので代替方法をこちらにアップしました。

[モリサワフォント]Adobe Fontsで一部提供終了。代替は可能?

Adobe Creative CloudのサービスにAdobe Fontsがあります。正直なところモリサワパスポートと比べたら使用できる(使い勝手の良い)フォントは少ないですが、ある程度まかなうことはできます。モリサワ製フォントも一部提供されています。

グラフィックデザイナーがよく使う基本的なモリサワ製フォントといえば以下になるかと思います。

  • 中ゴシックBBB(Adobe Fontsで使用可)
  • 太ゴ B101(Adobe Fontsで使用可)
  • 見出しゴ MB31(Adobe Fontsで使用可)
  • 新ゴ ファミリー(Adobe FontsではUD新ゴ1書体のみ使用可)
  • リュウミン ファミリー(Adobe Fontsで1書体のみ使用可)
  • じゅん ファミリー(Adobe Fontsで1書体のみ使用可)

中ゴシックBBB、太ゴ B101、見出しゴ MB31の3書体はAdobe Fontsで問題ないですね。この3書体は見出しや本文、注意書きの書体として必要なので絶対におさえておきたいところです。

リュウミンやじゅんも基本的なフォントではありますが、それぞれ1書体しか提供されていないので使い難いです。そしてリュウミンやじゅんの場合、フォントそのものが必要というより「明朝体」と「丸ゴシック体」が必要という意味が大きいと思うので他のフォントでも代用可能かと思います。例えば源ノ明朝や平成丸ゴシック等、Adobe Fontsから選ぶことができます。

ただ、新ゴ ファミリーはいろいろな場面でよく使いますし特徴的なので替えが効かないんですよね。Adobe Fontsで提供されているUD新ゴは1書体ですが、太〜極太も結構使うのでこれでは足りません。しかもUD新ゴの数字は新ゴ ファミリーの数字とはまったく形が違います。そのため新ゴ ファミリーはAdobe Fonts以外のところから調達したほうがいいですね。

Select Packで不足フォントを補う

モリサワの製品はモリサワパスポート(年契約のライセンス製品)と、買取のパッケージ製品の2パターンがあります。

パッケージ製品にSelect Packというシリーズがあり1/3/5書体まで選べるラインナップとなっています。こちらも高額ですが、買取なので一度購入したらずっと使うことができます。

必要な書体数にあわせてSelect Packを選びます。(Select Pack Plusは漢字が含まれていないので除外します。)

私は新ゴ ファミリーでは「M」「B」を特に使うので、最低2書体は必要です。あとは予備枠をどれくらい取るか・・・Select Pack3では残り1枠、Select Pack5なら3枠・・・あとになって欲しいフォントが複数出てくるかもしれないので、思い切ってSelect Pack5を購入することにしました。

Select Packの購入方法

Select Pack5を購入することに決めたので、あとはモリサワのホームページから注文するだけ・・・と、ここで慌ててはいけないのです。Select Pack5の金額はストア価格76,000円(税別)/83,600円(税込)です。もう少しお買い得にならないか調べてみることにします。

注文画面下に「取扱店一覧」があります。こちらを確認してみましょう。

「取扱店一覧」をクリックすると、モリサワ製品を扱っている全国の実店舗とネット販売の情報が出てきました。実店舗の場合、店頭に目当ての製品がないことがあるので、ネット販売に絞って確認します。

ネット販売を行っている会社の販売価格を調べてみました(すべてSelect Pack5について)。どの会社もモリサワパスポートの取り扱いはありますが、パッケージ製品の品揃えはまちまちのようです。

  • ヨドバシカメラ.com → 71,870円(税込)
  • ビックカメラ.com → 71,870円(税込)
  • 株式会社Too → 88,000円(税込)
  • Font Garage ボーンデジタル → 88,000円(税込)
  • CGCREATORS ONLINE STORE → 取り扱いなし ※(2022/4/15追記)モリサワパスポートの取り扱いも終了した模様
  • ライセンスオンライン株式会社 → 取り扱いなし
  • イメージナビ株式会社 デザインポケット → 83,600円(税込)

ヨドバシとビックカメラは定価より18%引きとなっています。私はビックカメラ.comで購入することにしました。(アマゾンは約25%引きということを後で知りました。。。)

Select Packを購入せずに何とかする場合

Select Packも高額なので購入を躊躇されるかもしれません。私も少し前まではお金をかけずにフォントを使えたら、と考えていました。新ゴ ファミリーの数字の形状問題がなければ今でもSelect Packを購入せずにいたと思います。

もしも新ゴ ファミリーの数字の形状を気にしないのであればAdobe FontsのUD新ゴを活用すればよいのですが、文字の太さをもう少し選びたいという場合はMORISAWA BIZ+を試してみてはいかがでしょうか。

MORISAWA BIZ+に無料会員登録をすることで無償版UDフォントを使用できるようになります。Windows/Macどちらでも対応していますよ。

まとめ

モリサワパスポートはあれば便利ですが経済的な事情で導入が難しいことがあると思います。私もそのような状況でしたので上記の方法で対応してきました。

お取引先様との打ち合わせの際に共通のモリサワ製フォントで制作をやりとりしたいという話がでることがあります。そういう時はこちらの事情をお話して他の方法で進められないかご相談するのですが、先方もモリサワパスポートをはじめとするモリサワ製フォント導入のハードルの高さをご存知なので納得してくださいます。(今はある程度のモリサワ製フォントを揃えることができたのでお取引先様のご要望にお応えしやすくなりました。)

同じように悩んでいる方がいらっしゃったら思い切ってお取引先様にご相談することをおすすめします。弱小フリーランスの状況を考慮してくださるお取引先様とは良い関係が築けると思っているので。

それでは今日はこの辺で。